「…いいのか?」


「ハイ。
名前が変わっても、中身が変わるワケじゃないし…
私は、私デス。」


軽く眉を顰めたマリーに、少女は微笑んだ。

『気遣いは無用』
つまりはそういうことらしい。

前言撤回。

ボロボロで、ゾンビで、死兆星が見えそうな病人の中身は、マリーの想像を遥かに超える強い光に満ちていた。

このコなら立ち直れるだろう。

後は、方向性を間違えないように…


「よし、菜々。」


マリーは菜々に歩み寄り、身を屈めて瞳を覗き込みながら、頭に軽く手を乗せた。


「ココでは下系サービスは禁止だ。
てかそーゆーのは、いつか惚れた男と楽しめ。
とりあえずおまえの仕事は、身体をちゃんと治すコト。
少しずつ、出来るコトを増やしていくコトだ。」


「え… そんなコトで…」


「俺が言うンだから、ソレでいいンだよ。
料理も掃除も洗濯も、アンジーに教えてもらえ。
わかったら、少し休め。
夕飯は一緒に食えるか?」


「‥‥‥‥‥ハイ!」