こんなに狼狽えるマリーは、初めて見る。
目を白黒させて。
顔を赤くして。
必死で少女の視界から逃れようとする姿に、いつも冷徹で冷酷な殺し屋『ブラッディマリー』の面影はない。
それどころか、フツーの成人男性の反応ですらない。
ナニ?コレ。
童貞でもあるまいし。
てかアンタ、かなり奔放に遊んでたじゃん。
そんな小娘、サラっと躱せンだろ。
「やっぱり…
私じゃダメですか?
アンジェラさんみたいに、キレーじゃナイし…」
放心していたアンジェラを、蚊の鳴くような少女の声が正気に戻す。
慌てて少女に視線を移すと、彼女は大きな目を潤ませて、悲しそうにアンジェラを見つめていた。
「でも… でも…
私、勉強もできないし、ご飯も作れないし…
他に、ナニも出来るコトがないンです…」
俯いた拍子に、少女の目から大粒の涙がこぼれた。
「あ… 私は…」
「そーゆー意味じゃねぇ!!」
戸惑うアンジェラの言葉を、マリーが大声で遮った。



