「おー、クララが立った。」


ソレがマリーの第一声。


「そんな可愛げのないハイジはいないから。
ってこの会話、前にもしたコトあったわね。」


キッチンから苦笑しながら出てきたアンジェラは、すぐに少女に向き直る。


「歩いて平気?
足は痛まない?」


気遣うようなアンジェラの優しい声に、少女はコクリと頷いた。

アンジェラが用意したピンクのパジャマを身に纏った少女は、もうゾンビではなかった。

チビは変わらないが、少しふっくらしてきた頬は、ほんの気持ちダケ桜色に染まっている。

だが、全快とは言えない。
オドオドとしたその瞳は、まるで迫り来る死に怯える病人のようで…

ソファーの上に足を投げ出したまま、マリーは緊張を孕んだ声で少女に…


「…
もしかして死兆星が見えたり」


ゴンっ!!!

訊ねようとしたが、アンジェラに後頭部を木製スツールで殴られた。

ちょ…凶器レベルが上がってンぞ、…チっ、まさか殺る気だったの?!…

二人のやりとりに少女は‥‥‥

小さな声を上げて笑った。