「お、見えた。
アレ‥‥‥‥‥か?」
マリーはミラーに映る人影を凝視した。
一度顔を上げ、眉間を指で揉んでから、再びミラーに視線を落とす。
何度見直そうと、映っているのはマッチョのオッサン。
髭の剃り跡が目立つ、白い肌。
金髪、青い目、割れた顎。
男のシンボルを強調するような ピっチピチの黒いスラックス。
大きく開いた白いシャツの胸元はフリルで縁取られ、中の胸毛がこれでもかと覗いている。
そして、耳にかけた赤い薔薇…
…
うん。
見紛うことなく変態だ。
エントランスの柱の陰に身を潜めているつもりなのかも知れないが、全部見えてマスヨ?
ゴっツイ手に握られた、ツイスト・タガーまで見えてマスヨ?
そろそろ通報されンじゃね?
変態の上、バカだ。
もう…
バカ同士で、さぞお似合いだっただろうに…
俺なんかにチョッカイ出さずに添い遂げてれば、二人揃って殺られるコトもなかったのにネ。
南無阿弥陀仏。
「じゃ、サクっと…」
殺ってくるわ。
そう言おうとして顔を上げたマリーは、菜々とアンジェラを見て言葉を飲み込んだ。



