アンジェラがプイっと顔を背けると、スープカップを両手で握りしめた菜々が涙目で俯く。

そろそろ、お怒りの理由を教えてやってよ。

泣いちゃうよ?


「罠っつっても、せいぜい上からバケツの水が降ってくるとか ロープで足を引っかけるとか、その程度だと思ってたよ!
あんな危ねぇモン…
罠を張ってる時に誤作動しちゃって、ケガするコトだってあンだゾ?!」


「ごめんなさい…
ごめんなさい…」


「なんでちゃんと言わねーの?!
そしたら俺も手伝うのに!!」


「ごめ… え?
でもそれじゃ、アンジェラさんまで…」


驚いた菜々が顔を上げると、アンジェラは苦しげに眉根を寄せて彼女を見つめていた。


「俺はイイの! ケガくらい!
男だし!
でも菜々ちゃんは、女のコなンだよ?
それに… それに…」


言葉を詰まらせたアンジェラは 菜々に向かって手を伸ばした。

怯えて身を縮める彼女の髪に触れ、労るように優しく撫でる。


「それに菜々ちゃんは…
もう俺の妹なンだよ?!」


「え…」