「菜々…」


瞼を上げ、切なげに目を細めて菜々を見たマリーは…


「…

‥‥‥‥‥」


肩を落として顔を背けた。

カっと見開かれた大きな目。
真一文字に引き結ばれた口。
息を止めているのか、青ざめはじめた肌…

菜々サン…
そのキス顔は、流石にあんまりじゃねーデスカ?

ウケる。
てか、萎える。


「菜々… 息をしろ。」


「ぶっはぁぁぁぁぁ!!」


…随分、頑張ってたのね…

マリーは笑いを噛み殺しながら 肩で息をする菜々の頭をワシャワシャ撫でた。

こりゃ、一からお勉強だな。


「口を塞がれても、鼻があンだろ?
ちゃんと息をしろ。
これからは、窒息未満で解放してもらえると思うなよ。」


マリーの言葉にコクコク頷いた涙目の菜々が、ふんー、ふんー と鼻呼吸をしてみせる。


「よし、目は閉じろ。
あ、ギュってすンな。
軽くでいい。
口は少し開けてろ。」


またもコクコク頷いた菜々が、素直にマリーに従うが…