だが、自らが転落しそうなほど出窓から身を乗り出すマリーとは対照的に、菜々は冷静そのものだった。
「私、大人しく降参する気なんてありませんよ。」
朝の爽やかな風に焦げ茶色の髪を靡かせて、俯いたままの菜々が口を開いた。
「マリーさんが私を嫌いになったとか、邪魔になったとか…
それでお別れするコトになったのなら、私、素直に従います。
きっと泣くだろうケド…
ちゃんと諦めます。」
菜々が伏せられた睫毛をゆっくり上げた。
決意を漲らせてキラキラと輝く瞳が、マリーを射抜く。
「でも、危険だからとか私のためだとか、そんな理由なら絶対にイヤ。
マリーさんから離れない。」
(ナニ言って…)
マリーは身動きもできずに、静かだが決然とした菜々の声を聞いていた。
ナニイッテンノ?このコ。
ほんとに危ねェンだって。
死んじゃうカモだよ?
それも、かなり酷い死に方になる可能性大だよ?
「マリーさんと離れて50年生きるなら、残り1日の命でも、マリーさんと一緒にいたい。
マリーさんに拾ってもらえなかったら、きっととっくに死んでただろうし。
私はこの命ごと、マリーさんのモノです。」



