狭い階段をマリーは上る。

左手に銃、右手に菜々の手を握って。

気分は子連れ狼だ。

あのまま事務所に待たせておいても良かった。

みんな星になったし☆
今からアンジェラと一緒にいる女も、星になる予定だし☆

でも…
連れてきちゃった。

だって危なっかしいンだもん。

一人にすると、出られないハズの部屋から脱出しちゃったり、右手と右足同時に出して『塾帰りの高校生』のつもりになってたりするンだもん。

目の届くトコロにいてくれたほうが、安心できる。

てか、目が離せない。

って、コレ…


(俺って…
かなりの過保護かも…)


アンジェラがいるという部屋の閉じられたドアの前で、マリーは下唇を突き出した情けない顔で菜々を振り返った。

マリーの視線に気づいた菜々はナニを勘違いしたのか、繋いだ手を放して素早く壁に背中をつける。
そしてキュっと口元を引き締めてマリーを見上げ、一度大きく頷いた。



え?

ソレ、突入合図?

本気でボスか。

マリーは笑いを噛み殺しながら やはりフツーに扉を開けた。