(次…?)


オヤジの目に生気が戻る。

『次』があるってコトは、助かるってコト?

得物を持たないヤツは殺さないとか、そーゆーヒーロー的な?

だが、安堵に顔を輝かせるオヤジを、マリーの一言が再び地獄に叩き落とした。


「じゃ、もう死ね。」


「ナ──ン──デ───??!!」


甲高いオヤジの絶叫に、マリーは思い切り顔を顰めた。
背後からも「ひゃ?!」と小さい声が上がる。

うん。
今のは本気でビックリした。


「つ… 次があるンだろ?
助かるンだろ?
助けてくれよぉぉぉぉぉ??!!」


オヤジがマリーに手を差し伸べて、身も世もなく懇願する。
その顔は涙と鼻水でグシャグシャだ。

あんま情けねぇ姿晒すなって。
追従してたモブ部下共が、あの世で泣いてンぞ。


「寝ボケたコト言うなよ。」


マリーは冷めきった目でオヤジを見下ろした。

縋るように彼を見つめていたオヤジは気づく。

ナニも浮かんでいないかに見えた闇の深淵のような黒い瞳の奥に、焔が宿っていることを。