「‥‥‥なして‥‥サイ!
私、‥‥もしてマセン!」


バタン! ← 玄関扉の開閉音


「嘘つけ!!
じゃあコレはナンダ?!」


「え… えと… えと…
宿題? 自由研究的な?」


バタン! ← 事務所扉の開閉音


「はぁぁ?!
学校でこんなモン作るワケ…
ぅあぁぁ?! アニキぃぃぃ?!」


事務所に入ってきたスキンヘッドの巨体は、死体を見下ろして悲鳴を上げた。

コイツが、帰ってくる予定だったヤツだろう。
コンビニ袋を持っている。

だが、問題はソコじゃない。

スキンヘッドに腕を掴まれ、青ざめて佇んでいる少女。

頬にかかる、柔らかそうな焦げ茶色の髪。
白い肌に映える、桜色の唇。
大きな目と長い睫毛。
ダッフルコートに身を包んだ、小柄な身体。

うん。
その声にも姿にも、聞き覚えも見覚えもありまくり。


(菜々…)


‥‥‥‥‥ナンデコーナッタ?

マリーは皺を寄せた眉間を指で押さえて項垂れた。

ナンデ登場しちゃってンの?
さっき別れたばっかじゃん。

目を離した数分の間に、いったいナニがアリマシタカ?