「了解。」


もう『まじか』なんて言いマセン。

この短時間で菜々の手腕に感服し、厚い信頼を寄せるに至ったマリーは、アンジェラがいるという部屋の窓に視線を移した。

電気が灯いている。

生きた人間が、ソコにいる証拠だ。

生きた… アンジェラか?

見張りもいるのか?
そもそも、あのビルに何人いるンだ?

井戸端主婦の話では、オスカルを車に積んだのは三人。
運転手も含めると、四人はいたはず。

ダミー会社を作ってまで所有者を隠すほど後ろ暗い…
例えば暴力団事務所や犯罪組織のアジトなら、待機人員もいただろうし…

参ったな…

四人が10倍になろうと、殺すだけなら一瞬だ。
なんの問題もナイ。

だけど俺、殺されちゃ困る人質を取られたコトとか、ないンだヨネー。

どーする?俺。

アンジェラの奪還が先か?

死体の増産が先か?

頭を掻くマリーをチラリと見上げた菜々がしゃがみこみ、背負っていたリュックの中を漁りだした。


「まだ試作段階なので、よく聞こえないかも知れませんが…」


「ん?」