「あの建物の三階から信号が出ています。」


いつもの躊躇いがちな物腰が嘘のようなキッパリした口調で、菜々は言った。


「階数までわかンの?」


マリーが菜々の手元を覗き込むと、パソコンには間取図のようなモノが映し出されている。


「住所から、ビルの情報を引っ張ってきました。
一階は全部駐車スペースです。
玄関は二階で、ワンフロアの事務所のような作りです。
その奥に三階に上がる階段があって、玄関側の部屋にアンジェラさんはいるようです。」


「あそ。」


「後、ちょっと登記簿を覗いてみたンですが。」


「へ?」


PCからの登記記録の閲覧って…

確か利用者登録とかクレジットカードとか、諸々の手続きが…

まさかの不正アクセス───?!


「ある不動産会社の所有物件のようですが、その会社、他の営業実績が出てきません。
ダミー会社の可能性が高いですね。」


あぁぁ…

このコ、順調に犯罪者への道を歩んでるよ…

でも、ありがと。
助かるよ。