突然聞こえた物音に、アンジェラと女は硬直した。

怒鳴り声。
叫び声。

階下が急に騒がしくなる。

訳がわからない女は、訝しげに眉を寄せて階段に繋がるドアを振り返った。
思い当たる節があるアンジェラは、目を大きく見開いて階段に繋がるドアを振り返った。

今のは銃声だ。
間違いない。

ポイントはココ。

銃声 → 騒動

この順序が逆なら、色んな可能性が考えられる。

ココが犯罪組織のアジトで、警察が踏み込んできたとか。
ココが暴力団事務所で、抗争が始まったとか。

だが、発端が銃声だということは…

アンジェラは知っている。
なんの挨拶もなく、いきなり銃をブっ放すバカを。

だけど… だけど…

まさか‥‥‥?

素早く部屋の隅に駆け寄った女が、扉を薄く開いて階下に声をかけた。


「今のはなんなの?!」


「知るか!
変な男がいきなり…
心配すンな、相手は一人だ!
すぐに始末する!」


(…まじで?)


女の問いに呼応するように返ってきた男の叫びを聞いて、アンジェラは口までポカンと開けた。