「連れてかれたのは、美形の外人サンだったンですかぁ?」


この前もね、スーパーでね、なんて付近の物騒話に変わってしまいそうな流れを、マリーはさりげなく止めた。


「そうそう、そうなの!
ほんとにキレーな顔してたわ!
女の人に見えるくらい!」


いきなり食いつきやがったな。

そんなに美形が好物か。
イキイキしてンぞ。


「長い金髪を、ポニーテールにしてたンですって!」


「背は高いのに華奢な男の人で オ○カルみたいだったって!」


オメェらは見てねンだろ?
ナンデそんなに嬉しそーなの。

てか、オス○ルは古すぎ。

だが、コレは‥‥‥

マリーはキャっキャと騒ぐ二人を無視して、最初に話し出したマツモトさんを見下ろした。


「オスカ○は突然殴られて、車に乗せられたンですね?」


「ええ。突然、後ろから…
グッタリしてたわ。」


「相手は何人だ?」


「え… 三人くらいかしら…」


マリーから『タナカ シュウイチ』の面影が徐々に消え、マツモトさんが青ざめていく。

わかってはいるが、構っている暇はない。