声を聞いて、マリーの姿をチラリと見て、軽く会釈しながら路地の端に寄ったものの、ヒートアップする井戸端会議は止まらない。


「…うん。
確かにイケメンだったわ。」


韓流か? ジャ○ーズか?
ダンナのコトも構ってやれよ。


「じゃ、やっぱり人身売買目的の誘拐とか?
殴られて車に積み込まれるなんて、よっぽどよ?」


おいおい?
ジ○ニーズって、そんな非合法なスカウトやってンの?


「まさかぁ…
でも金髪の外人サンなら、内臓以外にも需要ありそうよね…」


おいおいおーい?!
なんてヤバい井戸端会議だ。
アンタら、ほんとに主婦か?

って、あら?


(イケメン、金髪、外人…)


マリーは足を止め、主婦軍団を見つめた。

そーゆーヤツ、知ってるよ?
てか、ウチにいるよ?

でも、まさか…

まさか?


「あのー… ナニか?」


サングラス越しとは言え、射抜くような凝視に耐えられなくなった主婦の一人が、恐る恐るマリーに声をかけた。