bloody mary


俺は当てもなく夜の街を彷徨った。

茫然自失とはまさにこのコト。

優しかった世界はたった数日で一変し、掌を返すように俺に牙を剥いた。

だが、ドコかに救いがあるンだろう?
今までずっと、そうだっただろう?

そうだ、きっと、そうだ…

ガンっ

後頭部を襲った衝撃が甘い考えを粉砕して‥‥‥

俺は意識を失った。

俺は意識を取り戻した。

ソコは暗い山の中。
ソコは崖の下。
頭から流血。
色々と骨折。

殴られ、気絶させられ、ココに運ばれ、投げ棄てられた。

つまりは、殺された。
そーゆーコト。

命を救ってくれた枯れ葉のクッションに寝転がったまま、俺は都会にはない美しい星空を見上げた。

愛と喜びで満たされていた人生も。
その先にあるはずだった輝かしい未来も。

全ては波打ち際に作った砂の城だった。

順風満帆だった俺自身も、幻にすぎなかった。

唾を吐かれ、背を向けられ、挙げ句の果てに殺されちゃうような俺が、本物の俺。

全てを手にしたなんて、とんだ思い上がりだ。

はじめから俺は、空っぽだったンだね。