寝言にタバコ、ね。
男は詰めが甘い。
そして女は鋭い。
全部お見通しってワケだ。
情けなさそうに頭を掻くマリーを見上げて、菜々は、笑う。
また、笑う。
…
本当に笑っているのだろうか?
目を細めてみても、彼女を縁取る目映い朝陽に邪魔される。
心が見えない。
「無駄に笑うなっつったろ?
泣け。怒れ。俺を憎め。
俺は、おまえが父親に愛されるかも知れない未来を奪った。」
うふふ…
笑う、笑う、光を纏った女が。
「マリーさんは嘘つきです。」
ダレだ?コレ。
菜々じゃない。
「父は…
なんかおかしくなってました。
アレはお酒じゃないと思う。
それにもしも父が普通でも、そんな未来は来なかった。
父にとって私は、娘どころか人間じゃなかったから。
…
ほんとはマリーさんだって、わかってたンでしょう?」
知らない女が、白くしなやかな手を伸ばす。
さりげなく、だが確実に築いた壁を、いとも簡単に突き崩して。



