だが、マリーの微笑みを見たアンジェラは、さらに苦しげに顔を歪めた。


「健気な…」


小さく呟きながらマリーの腕から菜々を受け取り、ハニーブラウンの瞳を潤ませる。

おまえが泣いてどーすンの。

マリーは呆れたように溜め息を吐きながらも、やけに優しくアンジェラの肩に手を乗せた。


「頼むわ。
なるべく目が覚めるまで傍にいてやって。」


「任せとけ。」


アンジェラは唇を引き結んで力強く頷いた。
とりあえず菜々を横にしようと彼女の部屋に向かおうとして…

足を止める。

アンジェラが振り返ると、マリーはリビングを出ていこうとしていた。

あら?
アンタは目が覚めるまで傍にいてやンないの?


(ドコに…)


愚問デスネ。
ソーデスネ。

こんな菜々を置いて、マリーが向かう場所は。

マリーがしようとしているコトは。

一つしかねぇだろ?

アンジェラは目を鋭く細めた。