bloody mary


「…
車に仕込んだの?」


「いいえ…
え? 車?
あの… あの…
マリーさんのジャケットに…」


「俺に、ついてンの?」


「ハイ…
あの… ごめんなさい。
私、イケナイコトを…
ごめんなさい、ごめんなさい…」


うん。
イケナイヨ。

そーゆー顔も可愛いケド。

ちゃんと相手を選ばなきゃ。
殺し屋はマズいでショ?


(殺人現場なんて、知りたかねぇだろ?)


唇の端に苦い笑みを浮かべてから、マリーは俯く菜々の頭に大きな手を置き、クシャクシャに撫でた。


「スゲぇな、おまえ。
全然気づかなかったわ。」


「ごめんなさい…」


「謝ンな。怒ってねーよ。
でも、もう俺はやめとけ。
今度はアンジーで試せ。
アイツが外で、男トイレに入ってンのか女トイレに入ってンのか、知りてぇだろ?」


マリーが菜々の耳元でそっと囁くと、彼女は涙が浮かぶ目でマリーを見上げて…
やっと、微笑んだ。

マリーが、笑っていたから。