「で、そのままマリーんトコに居座っちゃったワケ。
傷が治っても追い出されなかったし、俺も出てかなかったし…
そんで今に至る、と。」


長めの打ち明け話を終えて、アンジェラは紅茶を飲み干した。

18禁的グロ部分は随分端折ったが、それでも菜々には刺激が強すぎたカナ?

心配になったアンジェラがカップをテーブルに戻しながら菜々を盗み見ると、彼女は大人びた顔で微笑んでいた。

酸いも甘いも噛み分けた、成熟した女性のように。


「マリーさんって…
不思議な人ですよね。」


平気で人を殺す『怖い人』ではなく、見知らぬ他人を助ける『優しい人』でもなく。

『不思議な人』と、菜々は言った。

やはり、彼女はマリーを知っている。
恋する女の直感だろうか。


「…そだね。」


同じように微笑みながら、アンジェラは軽く頷いた。

『不思議な男』

まさにソレ。

マリーと暮らすようになって、彼が噂通りの殺し屋だということをアンジェラは知った。

大勢のターゲット、目撃者、時には仁義を欠いた依頼人に。
彼は容赦なく死神の鎌を振るっていた。

だが、噂にはなっていない真実も知った。