階段を一段下りるごとに、殺人鬼の脳は今から得られる快感への期待に侵されていく。

そうだ…

ココは私だけの場所。

念のため、はした金でナニも知らずにナンデモするような犯罪者くずれの用心棒を集め、敷地中に配置したではないか。

他の侵入を許さない、私だけのサンクチュアリだ…

地下室に下り立った殺人鬼はランタンに火を灯し、震える指で狭いワインセラーにつけた南京錠を開ける。

一つ、また一つ。

念には念をと大量に取り付けてしまったため、全部外すのは一苦労。

だがこの時間も嫌いじゃない。
もどかしさに焦らされながらやっと扉を開けた瞬間、最初のエクスタシーが訪れる。

後、一つ。
もう開く。

あぁ…
イってしまいそう…


「…
やぁ…
随分、活きがいいンだね…」


ワインセラーの中の新しい生け贄に、彼は恍惚と語りかけた。

三日間も闇の中に閉じ込められて憔悴しきっているはずの生け贄は、反抗的な目で姿を現した殺人鬼を睨みつけていた。

壊し甲斐がありそうだ。

さぁ、始めよう。
楽しい人形遊びを‥‥‥

死神の恐怖は、殺人鬼の心から消え失せた。