動揺を誤魔化すようにクッキーを三個まとめて口に押し込み、ゲフンゲフンとむせる菜々。

微笑ましいねぇ…


(コレ…
どーすンの? マリー。)


赤くなったり青くなったりしながら、なんとかクッキーを飲み込む菜々から目を逸らしたアンジェラは、窓の外のよく晴れた秋空を眺めた。

こんな純粋なコに、こんなに思われちゃって。
こんな純粋なコを、ここまで虜にしちゃって。

住む世界が違うと気づいた時、彼女はどうするのだろう。

ただの熱病だったと、アッサリ忘れられるのだろうか。

あんなに鮮烈な印象を心に刻みつける男のことを。


「ああアンジェラさんは、昔からマリーさんとお友達なンですか?」


「ん?」


アンジェラが視線を戻すと、菜々が上目遣いでコチラを見ていた。

まだ顔、赤いよ?
興味半分、照れ隠し半分といったトコロか。

わかりやす。
ほんと、可愛いネ。


「んーん。
俺も菜々ちゃんと一緒。
マリーに拾われたの。」


ポニーテールにした金髪を揺らしながら、アンジェラは首を傾げて微笑んだ。