bloody mary


「うるせぇな。
44口径なんて、反動でブレるわ弾の装填数は少ねぇわ…
使い勝手悪ィンだよ。
実用性が最優先だろが。」


マリーは手を休めることなく視線を落としたまま言った。

そーなのよ?
イイ銃なのよ?
命中精度も高いしさ。

だが、ナニもわかっていないアンジェラの批評は続く。


「いやいや、ビジュアルも重視しなきゃ。
ソレ、脇役臭がプンプンするもん。」


なにおぅ?!

謝れ。
記憶喪失のボ○ンさんに謝れ。

ヤツもシグ愛用者だ!
立派な主役だ!

眉を顰めたマリーが文句を言おうと顔を上げると、ナニカに手を伸ばす菜々が視界の端に映った。

ヘタに触ると、危ねェよ?


「ちょ、菜々…」


注意を促そうとしたマリーが、言葉を切る。

菜々は思慮深く、賢い娘だ。

そんな彼女が、安易に凶器に触れるワケがない。


「マリーさん、タバコ吸うンですか?」


菜々が手に取ったのは、商売道具と一緒に床に転がっていた、銀のシガレットケースだった。