若気の至りってヤツは、誰にでもある。
それは、世間的には認められない職業に就いているとはいえ、気が良さそうに見えるオヤジにも。

だからこそわかるコトもある。

凄みのある目なんて、見慣れている。
彼の目だって昔は周囲にそう評され、それを誇りにしていた。

だが、それだけではなかったのだ。
あの男の目は‥‥‥


「あの男は、ソレも、おまえのコトも、同じ目で見てた。」


破壊された携帯を顎でしゃくってから、オヤジは隣に座る優男を見た。


「アイツは簡単に壊すよ。
俺のコトも、おまえのコトも。
携帯を踏みつける気軽さでな。」


「‥‥‥‥‥イカれてンスか。
じゃあ、やっぱもうあの女のコトは…」


顔を引きつらせて、優男がビビる。


「そーそー、もう諦めな。
イカれた保護者付きの女なんかリスクが高すぎンだろ。」


優男から目を逸らしたオヤジは溜め息を吐きながら言った。

やっぱ、わかんねーカナ。

あの男はイカれてなんかない。
イカれてないのに、平気で人を殺せる。

まるで死神。

だから、怖ェンだよ。