事態を把握する間もなく床に叩きつけられ、さらにデッキシューズの踵で踏み潰される携帯。
優男は茫然自失で、ガラクタに変わっていく携帯と、携帯をガラクタに変えていくサングラスをかけた背の高い男を交互に見た。
いやいや…
フツー、他人の携帯そんな平気な顔して踏まないよ?
なんでそこまで踏みつけてンの?
恨みでもあンの?
てかそのスマホ、買ったばっかなンだケド?
ナンダ?コレ。
今夜は予想外のコトばっかだ…
「ナニすンの…
アンタ、ダレ?」
優男が気の抜けた声で問うた。
「壊してンだよ。
連絡できねぇよーにな。」
未だにゲシゲシ携帯を踏み続けるサングラス男…
マリーが、足元に視線を落としたまま答える。
「俺は… おまえが騙してたコの保護者? か?
ちょっと抵抗あンだケドな。」
(アイツの保護者?)
親父にしては若すぎる。
でも、兄貴なんていたっけか?
呆けていた優男の脳が、ゆっくり覚醒していく。
コイツ、アレだ。
水商売女に扮した彼女と一緒にいた男だ。
それって、つまり…



