「あーあ。
ありゃもう決定的にダメだな。
今月分、どーすンだ?」
新しいタバコに火を点けたオヤジが、靴の爪先で優男をつつきながら言った。
確かにかなりの上玉だった。
驚くほど気が強いが、かえってそんな女のほうが稼ぎ頭になったりする。
逃すのは惜しいが、諦めざるを得ないだろう。
また別の女を探せばいい。
というより、オヤジにとっては貸した金が戻ってくればそれでいいのだ。
だが、諦めの悪いヤツがまだここに…
「ちょ… 待ってくださいヨ。
あんなアマ、ちょっと優しくしてやったら、またすぐ従順に…
僕は怒ってないよ、とか言ってやって…」
希望的観測を口にしながら、優男は身を起こした。
ナニが起こったのかと注目する客や店員を睨みつけて威嚇しながら、テーブルの上にあった携帯電話を手にする。
金が要るンだよ。
愛してやるから。
夢を見せてやるから。
金を稼いでくる限り。
戻ってこいよ…
「へ… へへ…
見ててくださいヨ。
すぐに呼び戻してみせ
へ?」
優男の手から、ひょいと携帯が奪われた。



