騙されてるの?

そんなハズはない。
夢が叶ったら結婚しようって、誓ったよね?

信じた私がバカなの?

そんなハズはない。
会ったばかりの買春男より、彼を信じて当然だよね?

でも…

でも…

男の言葉に心が揺らぐ。
とんでもない過ちを、犯そうとしている気がする。

だが、もう後戻りはできない…

自分の身体の代価を支払おうとする男を、悲壮な覚悟で見つめた少女は…

ポカンと口を開けて目を見開いた。

男のパンツの右ポケットから、左ポケットから、お尻のポケットから…

出るわ、出るわ、
しわくちゃになった諭吉の束。

どんだけ出てくンの?
そんなにあンなら財布を買え。


「5倍はあンだろ。
コレで、黙って俺の言う通りにしろ。」


「…」


50万?
どんなプレイをご所望デスカ?

ベッドの上に無造作に投げ出した札束を指差す自分を買った男の顔を、少女はマジマジと眺めた。

屋内に入っても外されることのなかったサングラスの中を、見透かそうとするかのように。