マリーは鼻血も忘れて固まったまま、道路に屈む少女の横顔を穴が開くほどガン見した。

まじか。

まじで、まじか。

『切れ長の目』とか。
『無駄に怯えない』とか。
その他諸々は、ココに辿り着くための布石だったの?!

『オニーサンなら安心』とか。
DNAの成せるワザなの?!

コレはあんまりじゃねーか??!!
鼻血─────??!!

いやいや…
落ち着け、俺。

買う気はねぇンだから、悪魔が来りて笛を吹いたりしねぇよ。

俺以外となら、援交しようが乱交しようがイイじゃねーかよ。

彼女の人生なんだから。

たとえ、震えながら足を踏み外そうとしていても…


「使えば?」


荷物を集め終わったらしい少女が、マリーにポケットティッシュを差し出した。


ドコまでも上からなのね。

このじゃじゃ馬相手に一世一代の親孝行をするコトを、神はお望みらしい。

マリーは深い溜め息を吐きながら、妹と同じ名前の少女からティッシュを受け取った。


「…どーも。
おまえ、買ってやるよ。
ドコでヤんの?」


全く…
兄妹再会の会話じゃねーよ…