少女… いや、女?

切れ長の目。
細い鼻先。
薄めの唇。
キツい顔立ちの美人で、大人びて見える。

だが、カラーが水色でスカーフが紺の白いセーラー服を着ている。

中学生にはとても見えない。
女子高生か…

てか、なんで制服?
まだ夏休み中じゃないの?


「さっきから呼んでンだケド?
耳、落っことしてきたの?!」


片手は腰に当てたまま、もう片方の手で肩の下までの真っ直ぐな黒髪を背に流した少女が、高慢に言い放った。

ナニ?コイツ。

おまえなんて知らねぇし。
エラソーな女とかキライだし。

てなワケで、サヨナラ。

マリーは言葉も返さず、視線を戻して歩きだそうとした。

が、シャツの裾を掴まれる。


「待ってよ!」


「あ?」


振り返ったマリーに睨まれ、女子高生は慌てて手を離す。

だが、逃げ出そうとはしない。
サングラス着用中とは言え…

無駄に怯えねぇの?

女性にしては背が高い気が強そうな少女を、マリーは改めて見下ろした。