久し振りの夜の街。

菜々と暮らすようになってからは食事はなるべく三人一緒に摂り、夜遊びも控えていたのだが…

どーしても!
ど───しても!!

ヒト型ゴキブリが気になってしょーがない!

キモすぎる!
グロすぎる!
まじウケる!!

じょうじ じょうじょう‥‥‥

って、こんなネタ知ってるヤツいンのかよ。

そんなこんなで、今夜は夕飯を食べてから再び部屋を出たマリーは、いそいそと漫喫に向かっていた。


「ねぇ、オニーサン。」


ゴキブリ、ゴキブリ…


「ちょっと、オニーサン!」


ゴキブリ、ゴキブリ‥‥


「オニーサンってば!!」


ゴキブリ、ゴキ‥‥‥


「ん?」


背中を追ってくる声に、マリーは立ち止まった。

振り向けば、プチ般若。

腰に手を当てて頬を膨らませた少女が、きらびやかな人工の光に照らされて立っていた。