大きな箱を抱えて帰ってきたアンジェラは、すぐに菜々の白い肌を彩る赤い花に気がついた。

途端に上機嫌になってマリーにニヤリと笑いかけ、鼻歌を歌い出す。

…音痴だったンデスネ、アンジー君。

アンジェラ基準で人間に戻れたらしいマリーも仲間に入れてもらい、三人でテーブルを囲む。

色とりどりのオードブル、シーザーサラダ、シチューパイ、ローストチキン、そしてロウソクが刺さった苺のケーキ。

火を吹き消した菜々の顔は、泣きそうだったり嬉しそうだったり、やっぱり忙しかった。


「なぁ、ルビーの石言葉って知ってるか?」


頬を薄く染めたアンジェラが、グラスにバタール・モンラッシェを注ぎながら言った。

石言葉? って、ナニ?
ハイ、そこからデスヨ。


「そんなんあンの?」
「そんなのあるンですか?」


似たような言葉が重なって顔を見合わせるマリーと菜々を眺めて、アンジェラがニヤニヤしながら答える。


「さぁ? 俺も知らね。」


酔っ払いか。

マリーと菜々からブーイングが上がるが、アンジェラは素知らぬ顔でグラスを傾けていた。

ほんとは知ってるよ。

ルビーの石言葉は『情熱』『勇気』そして‥‥‥『純愛』。