だが菜々がアニ○浜口を召喚している間に、マリーが先に口を開いた。


「おまえ、頑張ったな。」


「へ?」


頑張った?
今から頑張る、じゃなくて?

首を傾げる菜々の頭に手が乗せられ、髪をクシャクシャに掻き乱される。


「やめてって、言えたじゃねーか。」


「あ…」


菜々は目を丸くして、唇の左端を持ち上げて笑うマリーを見上げた。

誰にも聞こえてないと思ってた。
誰にも届いてないと思ってた。

だって、彼女たちはやめてくれなかったし、彼らの目は腕から離れなかった。

なのに…


「聞こえて…たンです…か?」


「ちゃんと、聞こえた。」


やけに優しい声で言ったマリーが、長い指で菜々の額を軽く弾いて先を続ける。


「だから、なんでも言え。
どんなに小さな声でも、どんなに拙い言葉でも、おまえを大切に思ってるヤツには必ず届く。
無駄に笑って、我慢すンな。」