そろそろ繁華街を抜ける。

近頃ようやく覚えた夕焼け色に染まる帰り道を、菜々は広い背中を斜め前に見ながら歩いていた。

未だ繋がれた手。
菜々に合わせた、ゆっくりとした歩調。

嬉しい。
言わなきゃ。

だが全く別の感情が、すぐに心を埋め尽くす。

どうしよう。
聞かなきゃ。

あぁ、もう…
なんて気合いのいる1日なんだろう。

心折れそう…

『おまえも闘え』

あぅ…
が… 頑張りマスっっ!

一人コクコク頷いた菜々は、繋いだ手に力を込めて立ち止まった。

マリーが怪訝そうに振り返る。


「あ… ありありありありありありありがとごじゃりままま…」


「‥‥‥‥‥
おぅ。」


(笑われた?!)


大きな手で口元を覆って肩を震わせるマリーを見て、菜々は再びトマトになった。

だが笑われはしたものの、一応伝わってはいるようだ。

私、グッジョブ!

さぁもう1つ聞くのよ、菜々。
気合いを総動員して…