「ぅわっ! フランケン健在!
やっぱコレじゃカレシなんて
キャっっ?!」
菜々の手首を押さえていた女子高生の手が、強く容赦ない力で払い退けられた。
突然の出来事に言葉も出ない高校生たちの前から、菜々が伸びてきた逞しい腕に攫われる。
「汚ェ手で菜々に触ってンじゃねーよ。
この雌ブタが。」
毒を吐くにもほどがあンだろ、おい。
暴言に気色ばんだ男子高校生の一人が荒々しく立ち上がるが…
「ちょ、テメ」
「あ?」
菜々の背後から腕を回して華奢な肩を抱いた男に睨まれ、またストンと椅子に座り込む。
四人の高校生たちは、茫然とその男を見上げた。
ルーズウェーブの髪は黒く、チャラけた要素はひとつもない。
無造作に羽織った白いシャツの袖から覗く腕時計は、おそらくタグ・ホイザー。
そして仄かに香る、品のいいムスク。
その上、サングラスで顔の半分しか見えないが、なかなかの美形。
上質な、大人の男だ。
だが彼らの動きを阻んでいるのは、大人の風格でもイケメンオーラでもなかった。



