bloody mary


待って。耐えて。

それで本当に終わりが来た?

暴力からも、侮蔑の眼差しからも、逃れることなんてできなかったンじゃない?

あの人が、あの場所から連れ出してくれるまで‥‥‥

菜々の胸に、ある言葉が蘇る。

なんだか記憶が混濁していて、いつ聞いたのか思い出せない。
聞いたと思ってることすら、ただの勘違いかも知れない。

だが心に残るその声は、確かにあの人のもの。

冷たく、でも心地好く響く声…


『おまえも闘え』


(マリーさん…)


菜々は唇を引き結んで顔を上げた。
力を込めて、捕らえられた手首を引く。


「やめて…」


初めての抵抗。
初めての拒絶。

だが、その力はあまりに弱々しくて。
その声はあまりにか細くて。

誰にも届かない。

袖は呆気なく捲り上げられる。

またも人の目に触れた、無惨な『フランケン』。

だがもう菜々は俯かなかった。

青ざめながらも、強い眼差しで女子高生たちを見据えた。