bloody mary


また晒されるの?
今、ココで?
醜い傷痕を?

イヤだ‥‥‥


「やめとけよ。
カワイソーじゃねーか。」


すぐ隣から聞こえた男子高校生の声に、菜々が縋るように視線を送った。

だが、すぐに目を逸らす。

口だけだ。
だって彼の目は、好奇の光を宿して菜々の腕を見続けているではないか。


「なんでぇ、イイじゃん。
こんなに変わったンだもん。
案外キレイに治ってるカモ。」


「そーそー。
私らが見てアリだったら、菜々だって心置きなくカレシ作れンじゃん?」


悪意塗れの声と共に、悪意塗れの指がブラウジングトップスのフワリとした袖にかかる。

菜々は虚ろな表情で強張っていた全身の力を抜いた。

少しでも逆らえば、さらに殴られた。
身を守ろうとすればするほど、暴力は加速した。

無抵抗で耐えればイイの。
今だって、きっとそう。

目を閉じて。心も閉ざして。
人形のように。

いえ、汚いボロ雑巾のように。

彼らが遊び飽きて、こんな私の存在を忘れ去るまでジっと待てばいい…

でも…
本当にそれで良かったの?