嘘だろ?

まじまじ。もうボッコボコ。
お風呂にも入ってないみたいでさぁ、菜々が教室にいるかどうか臭いでわかんの。

まじ?

だぁから、まじだって。
給食とか、野良犬並みにガッツいちゃってさ。


(どうして…)


菜々は震えながら高校生たちの声を聞いていた。

クサイ
キタナイ
ヨルナ

菜々の姿を見て。
菜々が父親にされていることを知って。

誰もが同じ事をする権利を得たかのように、菜々を蔑み、虐げた。

教職員ですら、眉を顰めて彼女を見た。

でも、もう違うでショ?

もう臭くない。
もう汚くない。

もうみんなと一緒でショ?

なのに、どうして?

そんな目で見ないで。

コワイコワイコワイコワイ

セカイノ スベテガ コワイ…


「それが、こんなに可愛くなっちゃってさぁ…」


女子高生が手を伸ばし、動けなくなった菜々の髪を弄った。

コワイセカイの果ては見えない。