撤退を促す言葉を無視して、菜々の肩に手を伸ばす男子高校生たち。
それを見て、さらに表情を険しくする女子高生たち。

そして、俯いたまま貝になってしまった菜々…

なんだかイヤな空気だ。


「ごめんね。まだ用があるの。
私たち、そろそろ行くわ。」


アンジェラは菜々の手を取り、その小さな身体を自分の傍に引き寄せた。


「えー? そのコも?」


「もーちょっとダケ!
なんだったら彼女、ちゃんと家まで送っていきマスカラ!」


歩き出そうとするアンジェラにヤロー共が追い縋る。


(シツケーヨ。)


アンジェラは心の中で舌打ちした。

女連れのクセに、他の女ナンパしよーとしてンじゃねーよ。

てか、ウチの菜々ちゃん巻き込んでンじゃねーよ。

オメェら、あの女子高生にロックオンされてンだろ?

空気くらい読めや、コラ。

ちょっと振り返って、あのコらの顔見てみろ。

般若に…



って、あらら?