「あ…
あの… この人は…」


「初めまして。
私は菜々の従姉のアンジェラ。
今、一緒に暮らしてるのよ。」


口ごもる菜々の言葉に被せるように、アンジェラが笑顔でサラっと嘘をついた。

だって…
ほんとのコトは言えねぇだろ。

『買われていった家にいた、ハーフの女装男子デス☆』
とか、あり得ねぇだろ。


「まじー? イイなー。
菜々、こんなキレーな従姉のオネーサンとかいたンだー。」


よし、信じた。
今日の女装も完璧だ。


「え? ダレダレ? 友達?
ちっちぇー。カワイイねー。」


「名前は?
なー、紹介しろよー。」


彼女たちのツレらしい二人のチャラい男子高校生までもが寄ってきて、菜々の顔を覗き込む。

すると女子高生たちは、少し不愉快そうに口を尖らせた。


「もー行こうよ。
オネーサンも一緒なんだし、迷惑じゃん。」


「だよね。
またね、菜々。」


「なんでー、イイじゃん。」


「友達なんだろ?
一緒にお茶でも飲もうよ。」