いつもと変わらぬ食卓。

だが、いつもとは違う緊張感。

マリーの箸が皿の上の卵焼きに伸びるのを、菜々は固唾を飲んで見守った。

ヒョイ。
パク。

マリーの口が動く…


「ど… どどどーデスカ?」


「ん?」


ガっチガチに固まった菜々を、マリーは箸をくわえたまま訝しそうに見た。


「卵焼き… 美味しいデスカ?」


「?
おぅ。」


菜々の顔が喜びに輝いた。

小さくガッツポーズをした後、隣に座るアンジェラとハイタッチ。

楽しそーダネ、君ら。
いったいなんなの?

首を傾げるマリーに、アンジェラがウインクしながら言う。


「この卵焼き、菜々ちゃんが作ったンだゼ。」


「まじか。
ひょっとしてこの味噌汁も?」


マリーは汁椀を左手に持ち、軽く掲げた。