10年後――
私はお母様に呼び出された。
「貴方も今日で16歳なのね…。少し寂しいけれど心して聞いてね」
「はい」
「貴方、今ここで人魚狩りが行われていることは知っているわよね?」
「…」
無言で頷く。人魚狩りとはある一定…16になった人魚たちが
次々と狩られてオークションとやらに売り出されてしまうこと。
それで、何人もの人魚たちが犠牲になった。
「そこで、ルチア…貴方には地上に行ってもらいます」
「えっ!?」
こんな形で地上に行くことに驚き言葉が出ない。
そして「それじゃあね」と一言だけで出て行った姉の事情がわかった。
「わかり…ました」
こくんと頷くとお母様は頷き「元気でね」と声をかけてくれた。
「お母様もね。」
心配そうな私を見て「大丈夫よ。絶対に捕まらないわ。だから…
もう行きなさい」
優しく笑うと、私の額に手をあてる。すると
光の粒が私を包み込み、あっという間にお母様が見えなくなってしまう。
(お母様…お母様!!)
そう、頭の中で呟きながら私は意識を手放した。
