おそるおそる尋ねると
「うん!だってお友達になりたいもん!」
と返ってきた。
「それじゃ、ちょっとだけね」
私はそういうと岩の陰から姿を見せる。怖がられて逃げられてしまう。なんてことを考えていたら

「本当にいたんだ。凄い!ねぇねぇ、こっちに来てお話ししよ」
おわがる様子もなく普通に接してくれたことにとても嬉しくって自然と笑みがこぼれる。

それから、何分…何時間話しただろうか。
「僕、もう行かなきゃ。怒られちゃう」
そういって駆け出そうとする男の子を慌てて止める。
「ま、待って!!」
「なぁに?」
「これ、貴方に持っててもらいたいの。なくさないでね」
そういって男の子に手渡したもの…それはピンクのパールが小瓶に入っているもの。

「うん!じゃあね。人魚さん!」
「バイバイ」

そうして、男の子と別れた後急いで宮殿に戻った。
「何処に行っていたの!?」
心配そうに聞いてくるお姉様。
「ごめんなさい。レオナお姉様。」

今日16になったばかりのレオナお姉様は今から海の上に旅立つらしい。
大急ぎで「…それじゃあね。」そういうとお母様のところに行く。

どうして急いでいるのかこのときの私には理解できずにいた。
セバスチャンに聞いても「お嬢様が16になれば分かりますよ」とはぐらかされてしまう。

――今思えば、この出来事が運命だったのかもしれない。