当然ながら全く気にしていなかった
まさかこんな小娘に負けるとも思わなかった
受験生の大抵は大規模のコンクールに出ていて顔も見たことある人が多かった
しかし桜木ははじめて見た顔だった
ここからはもう思い出したくもないわ………………
彼女の演奏に普段顔色ひとつ変えない教授も顔がゆるみはじめ、
ウィーンの大学の学長までも心を動かされていた
悔しかった
彼女だけではない
瓜二つの双子の蛍もそう
結局、入試順位は
桜木唯、蛍、あたし
となってしまった
それだけでは終わらなかった
実力試験、定期テスト、抜き打ちテストも
全部三位に終わってしまった
だからせめてTオケのコンミスだけは両親のためになりたかった
ストラディを弾くことは夢でもあったから………………

