走っていた。

果てが見えない長い道。

周りは花畑。

風を切る。

あれ?

風があたっているのに、何も感じない…。

ていうか私、こんなに足遅かったっけ?

体が重い。


「…みや…ん!小宮さん!」

見憶えのある顔。

綺麗な瞳がこちらを見ていた。

「月…岡くん…?」

あ…いい香り…

何で、ここに…?

ていうか、ここは…

ダメだ。ぼんやりし過ぎて、頭が働かない。

辺りを見わたす。誰も居ない。

見慣れた沢山の机と椅子。
汚い黒板。

教室だ。

だんだん覚醒してきた。

「私…寝てた!?」

「うん。ぐっすり」

月岡くんがクスクス笑った。

「あれ?皆は?」

嫌な予感がする。

「実験室だよ。授業がもう始まってる」

「マジか…」

予感的中。

もしかして…
月岡くん、迎えに来てくれたの…?

口にするのは辞めよう。
最近の私は自惚れすぎだ。

「そろそろ、行こうか」

嫌だな。
注目浴びるんだろうな。

「…うん」

ゆっくりと立ち上がる。

そして、思い足取りで月岡くんと実験室に向かった。