これ以上ないくらい重くなった空気に、
お店の雰囲気は悪い意味であっていた。
つまり、最悪だ。
予約した店は、思ったより上品な店だった。
騒がしさは微塵もないし、楽しく喋れる雰囲気でもない。
ただ昼食を済ませて、メニューを注文するとき以外、口を開くことはなかった。
口を聞けば、別れ話を切り出されそうで怖かった。
そんな空気だった。
「……理人くん」
「なに」
街から外れた通りに出たところで、私が口を開いた。
返ってくるのは冷たい返事。
「…怒ってる……?」
「怒ってないように見える?」
見えない。
見えません。
でも、私には謝ることしかできない。
「ごめんね…
理人くん………」
どう続けたらいいのか分からなくて、
言葉を切った。

