亜砂の化粧も仕上げに入り、唇に紅が載せられた。
「ハイ、出来上がり〜」
目、開けてみ、と弾んだ霧里の声に目を開けると、二人から歓声が上がった。
「かわいい!かわいいよ亜砂ちゃん!」
「ほんまこれやったらどこの店でも受けるわぁ」
かわいい、かわいいとちやほやされ少し居心地が悪い。
だいたい今、自分は男として名乗っている筈。男はかわいいと言われて嬉しがらない。
「僕は男だって言ってるでしょー!!」
島原にある店の一室から変声期前の少年の悲鳴が聞こえたとか。
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