(つるぺた…つるぺたど貧乳…貧乳…)
遅ればせながらもこの店の花魁、霧里(きりさと)の容赦ない言葉にショックを隠せない亜砂。
彼女が呆然としている間も、着々と着物は着付けられ、次は化粧に取り掛かる。
「亜砂ちゃん、色白やから白粉はいらんなぁ」
どこか楽しそうな霧里が亜砂の瞼に色を載せていく。
うっすらと色付いた瞼を開くと、襖の外から声が掛かった。
「亜砂くん?開けていい?」
山崎だ。初任務である亜砂をサポートするためにここに来た山崎は、既に仕度を済ませていた。
どうぞ、という声に応えて入ってきたのは、着物を来た背の高い女だった。
「う、え?山崎さん?」
「俺だよー」
へらりと笑った顔はいつもの山崎。しかしへらへらせずにいると本物の花魁のようだ。
白粉を軽く叩いた白い肌に紅い唇は大人の女という感じで、胸には詰め物がしてあるのか豊満に見える。あまりにもおぼこい自分にがっかりした。