「取り敢えず総司も呼んで門に行こう」
土方の考えに近藤は頷き同意を示すと、立ち上がり部屋を出る。
歩いて総司の部屋まで行き、総司、と声を掛けた。
だが、返事はない。
仕方ないと開けると、中はもぬけの殻だった。
「総司の奴ぁ、どこ行ったんだよ」
「まぁた何処かでさぼってやがんな」
二人は顔を見合わせ、ため息を零す。
一番隊の隊長は、どうもさぼり癖があるのでいつも居場所が掴めない。
一昨日は団子屋、昨日は屋根、今日は甘味処など、まるで猫のように自由気ままに行動するのだ。
中庭当たりで立ち止まっていた二人は、向こうの方で何やら隊士が騒いでいるのに気付いた。
ドダダダダダダ
なんかすごい地面蹴ってる音がする…
何故か危機感を感じ、振り向いた時には時既に遅し。
「トシ兄!近藤先生!」
何か小さな弾丸の様なものが二人に突進してきたのである。
「「ぐぼァァ」」
大の男二人が奇声をあげ倒れこむのを、隊士達は冷や汗をかきながら見ていた。