近藤が言いたかったのは亜砂を山崎と共に島原へ潜入捜査させろ、と言う事だった。


しかし島原は遊廓。小娘の亜砂には別世界の様な場所だ。


総司は付き合いなどで何度か行った事があるが、化粧臭い女は余り好かないので行っても酒をちびちびと飲んでいるくらいだった。


言ってしまえば総司は純粋な亜砂をそんな所へ放り込みたくなかったのだ。


悶々としている総司の耳に、行きます、という声が聞こえた。

間違いなく亜砂の声。


亜砂は勿論土方の耳にも近藤の耳にもしっかりと届いた。



「おお!行ってくれるか、亜砂。」

「近藤さんと、皆と一緒に戦いたくて来たんだし任務の一つや二つくらいどんと来いって感じですよ!」

「それでこそじゃじゃ馬娘だ。」

「頼もしいな!がんばってくれよ!」



盛り上がる三人。しかし横で納得いかないのが一人。


「何でだよ!亜砂!」


大声をあげた総司に驚く三人。


普段あまり感情をおおっぴらにせず、飄々としている総司だ。



それが今は顔を焦りに染め、必死に叫んでいる。


「島原なんか行ったら変な男に何されるかわかんないんだよ?そんなとこ行かずに「総司」

「亜砂!!」


「いい加減にしろっ総司!!」



怒鳴ったのは近藤でもなく、土方でもなく、亜砂だった。