騒がしい三人を引き連れ、屯所の廊下を歩く近藤はまるで子守をしているようだった。

剣の腕は新選組最強と言われる総司、そしてその双子の飛鳥、それに小柄だが剣の腕は立つ藤堂平助。

三人共文句無しに強いが、まだ若い。

若い三人は、毎日を必死に生き抜いているのだ。


それにしても、と近藤は考える。


飛鳥の事である。

男装しているとは言え、まだ年端もいかない娘だ。

普通だったら綺麗な着物に胸を弾ませ、好きな人などもできていたかもしれない。普通の少女の暮らしができていたかもしれない。

しかし、俺があのとき、総司と飛鳥が試衛館に来たとき、暇つぶしに、と剣術の世界に引きずりこまなければ…


そう考え、近藤は頭をふる。

そうだ。俺は後悔していない筈だ。だって飛鳥はああやって笑っている。

あの子が笑っているんだったら、俺はそれでいい。


飛鳥の無邪気な笑顔につられ、じきに近藤の顔にも笑みが広がって行った。